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広報より

輸血について

副院長の山村です。最近の輸血に関する情報を提供させていただきます。
おかげさまで、2019年度から当院でも赤血球輸血を開始し、のべ13件の輸血を実施いたしました。
輸血関連の有害事象も認めておらず、安全に施行できたことを喜ばしく思っております。


ところが、2020年に入ってから状況は変化しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態制限・外出自粛等の影響で、献血者の減少は避けらない状況であり、日本輸血・細胞治療学会から、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う血液製剤供給 不足に対する緊急提言」が発表されています。医学的根拠に基づいて、より一層の適正輸血の実施が求められております。
また、輸血の安全性については、4月に日本赤十字社から出された輸血情報に記載があります。要約しますと、以下のようになります。
①歴史上、同じコロナウイルス感染症である SARSやMERS、またH1N1インフルエンザのような、呼吸器に感染するウイルスが輸血により感染が伝播した例は世界で一例も報告されていない。
②今般の新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、 輸血による感染を疑った報告はまだない。
③末梢血液中の新型コロナウイルスについては、新型コロナウイルス感染と診断された症状のある患者の15~40%において、血中からウイルスが検出されたとされる論文がある。
④現時点では、このウイルスが輸血によって患者の末梢血に入ることにより、重大な健康被害を起こすとの知見は得られておらず、WHOもあくまでも理論的可能性ととらえている。
⑤諸外国でも中国の湖北省を除き、献血血液の新型コロナウイルス・スクリーニング検査は実施されていない。
⑥日本赤十字社においても、献血血液の新型コロナウイルス・スクリーニング検査の導入は現在予定していない。

以上のことを踏まえまして、当院における今後の赤血球輸血の適応に関しては、慎重に判断させていただきます。
皆様におかれましても、ご理解とご協力の程宜しくお願い致します。

あんクリニック訪問診療
副院長 山村武史